矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

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2019
【アナリストオピニオン】CASE時代の「人馬一体」 ―モビリティとは生きることなのだ―①
CASEの進化といっても電卓と一緒だろ? 先日、ある70代のカーガイにきかれた。ちなみにここでいうカーガイとは、「愛」を付けてクルマを呼ばずにはいられない愛車男のことを意味する。 カーガイ曰く「最近CASEとか騒いでいるけどさあ、100年に一度の大変革とかいうけど、実はたいしたことないんじゃないの?」 そのカーガイは自動車業界で長らく生きてきた大先輩である。仮に鈴木さんとしよう。 たしかに18年あたりから、新聞・雑誌・Webの自動車関連記事では、CASE ※ という単語を目にしない日はない。自動車産業に「CASE」という名の100年に1度の大変革の波が押し寄せているという内容であり、自動車業界が危機感を感じ新たな投資・提携などに乗り出している…などは世間の一般常識となっているはずだ。 だというのに鈴木さんは「たいしたことない」とおっしゃる。 さらに鈴木さん曰く、「俺はかつての電卓と同じことだと思うんだよね。そこんところどうなの?」 一瞬、質問の意味が分からずに「どういうことですか?」ときいた。 すると鈴木さんは「だって電卓にしたって60年代までは今のPCくらいの大きさがあったのに、すぐに小型化が進んで、80年代には今みたいな手のひらサイズになっただろ。しかも当初は電源コード付きだったものが、乾電池になり、太陽電池式になった。たしかに変化したけれど、それでも電卓であることは全く同じだっただろう」という。 いわれてみれば電卓はそんな具合に変化を遂げてきたことを思い出した。「たしかにそうですね」と私は答えた。 すると次に彼は「だから電卓と同じだと思うんだ。CASEによる自動車の大変化といっても、案外電卓と変わらない。俺の愛車がガソリンエンジンから電池とモーター制御になっても、高速道路で手放し運転できる機能が搭載されても、俺の愛車であることはちっとも変わらないよ。ケース、ケースってやたらと大騒ぎして何なんだろうね」ということであった。 たしかに鈴木さんが自分の気に入った愛車を好きに走らせるシーンだけをとってみれば、CASEの大変化といってもそんなものに見えるかもしれない。 だが、当然ながら、CASEやMaaSを調査担当分野とする筆者にとって、それを認めるわけにはいかないのである。そこで反論を試みた。「ちょっと待ってください。CASEによる変化はもっとすごいものですよ。自動車が変わるだけでなく、他の産業も巻き込んでの大変化になるんですよ」(森健一郎) ※CASE(Connected=つながるクルマ、Autonomous=自律運転、Shared=共有するモビリティ、Electric=電動車・EV) ※全文は以下よりご覧いただけます https://www.yanoict.com/opinion/show/id/277
12 12
2019
【アナリストオピニオン】SDLを知らずしてサービスを語るなかれ③
IoTがけん引するも、結局は原点回帰が重要か Webサービスやスマホを経由したサービスでは、各人が画面のどこをタッチしたなどといったデータが蓄積され、それを分析することでインターフェイスの変更などを常時行い、顧客の体験価値を最大化するための取り組みがおこなわれるようになった。インターネット経由ですぐに変更を反映できる強みをフル活用しているともいえる。 音楽であればCDは売上を落とし、代わりにサブスクリプションサービスが伸びてきた。そこでは消費者の音楽視聴体験をいかに高めるかがカギとなっている。小売店はECサイトを拡充し、店舗とECを組み合わせた購買体験の向上などに四苦八苦している。冒頭でiPhoneの事例を出したが、モノも続々とネットワークに接続されるようになり、自動車は今後、コネクテッドカーが主流になる。この流れは不可逆に思え、IoTやネットの普及は技術面からSDLの実現をサポートする役割を果たしたといえるだろう。 しかしながら、我々の世界はまだまだ従来型のモノ中心の経済で動いているのも事実である。この文章を読んでる方も、そのほとんどは顧客や消費者のサービス体験をどう変えていったらよいのか分からないでいるはずだ。「当社の製品にネットワーク接続機能を入れても、そのコストに見合うだけの何ができるのか」「従来型のビジネスモデルを変更してイニシャルコストからサブスクリプションにして本当に大丈夫なのか」などなど、これまでの成功モデルの廃棄を迫られるのだから結論がすぐに出ないのは無理のないことである。不安を抱えつつも、大いに検討し、新しい未来に向かってチャレンジしていかねばならない。 一方で、そのチャレンジは、IoTを無理やり適用しているだけなのでは、と感じる時がある。あなたのチャレンジは、IoTを用いた形だけのサービス化になっていないかという疑問である。 ものづくりの場においても、サービス化の概念が入り込んでおり、今日では、ものづくりとは設計情報の転写である、という考え方がなされている。つまり、開発者の考えた設計思想は図面化され、それを工場で実際のモノへと転写する。市場において消費者はモノを購入しているわけだが、実はその裏側では(というより、寄り添うように)開発者の思想や世界観をモノの利用を通じて体験する。 すなわち、そもそもモノそれ自体、サービスの塊として存在しているのであって、本質は開発者の思いであり、IoTは道具の一つにすぎないのではないかと思えるのである。 近年のAIやIoTの発展は、モノづくりからコトづくりへとシフトする世の中における、キーツールの役割を演じさせられ、普及してきた。ところが一方で、それらを具体的な成果物として世の中に送り出せたのは、どれほどあるだろうか。矢野経済研究所では当該分野の市場動向をウォッチしているが、多くない成功事例の陰に、山のような失敗事例が積み上げられていると感じる。 新製品開発が難しいのは当然ともいえるが、果たしてそのなかに、安易にIoTでサービス化するようなことがなかったか、いまいちど原点に立ち返り、考えてみる必要があるのではないだろうか(忌部佳史)。 ※全文は以下よりご覧いただけます https://www.yanoict.com/opinion/show/id/276
12 11
2019
【アナリストオピニオン】SDLを知らずしてサービスを語るなかれ②
知らずに済まない“SDL”という概念 SDL(サービス・ドミナント・ロジック)とは、モノ中心の経済活動を、サービスの目線からすべてを捉えなおそうとする試みで、モノ含めてあらゆるものがサービスの一環であるという考え方に立脚した概念・モノの見方である。2004年にスティーブン・バーゴらによって提唱された。 これまで、経済の主流は製造業であり、モノが中心であった。企業は製品を製造し、販売することで売上を上げ(交換価値)、販売後は基本的には企業の手を離れるのが常であった。アフターマーケットとして“保守サービス”を提供する場合もあるが、それはモノに付随したオマケのような存在であり、サービスはモノに従属する売り物の一つという存在であった。 モノを持たないピュアなサービス業(医療や教育など)においても、マーケティングの発想を持ち込む場合は、モノに対比して考えることが通常であり、モノに対するサービスの特殊性として、生産と消費の同時性、非在庫性などといった特徴がフォーカスされるに過ぎなかった。要するに、サービスは常にモノの脇役として機能していたのである。 SDLは視点を大きく転換し、サービスこそが主役である、モノはサービスを媒介する存在にすぎないと主張した。また、価値を発揮するのは販売時点ではなく、消費者の使用プロセス、実践の場こそが価値創造の現場であるという考え方を提唱した。 自動車で例えれば、自動車はドライブや移動というサービスを媒介するモノに過ぎず、また、その価値は顧客が自動車を購入した時点ではなく、乗車体験しているプロセスにおいて創造されると捉えよ、と主張したのである。 こうした、体験や経験価値に重きを置く考え方は、今となっては当たり前と感じさせる概念であろうが、モノ中心の世界観に置かれていた当時においては、価値転換を感じさせる考え方だった。そして、SDLにおいては、消費者は企業にとっての共創者と位置づけられ、企業は価値の提案しかできず、価値の創造はユーザが一緒になって生み出すもの(共創)だと提唱した。この顧客志向な考え方もまた、DXやデザイン思考などで重要視されている概念に通じるといえるだろう(忌部佳史)。 ※全文は以下よりご覧いただけます https://www.yanoict.com/opinion/show/id/276

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2019
2019-2020 XR(VR/AR/MR)360°動画市場総覧
XR(VR、AR及びMRの総称)は緩やかであるが、市場は着実な成長を遂げている。ハードウェアではスタンドアローン型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)に於いて(米)Oculusの「OculusGo」が流通しはじめたことで、低価格なハードで気軽にVR体験が出来る環境が整備され始めた。同HMDはOculusと中国Xiaomiの共同開発プロジェクトであり、且つOculusが(韓)サムスン電子と開発したGearVRと互換性を持つプラットフォームなため、GearVR向けのコンテンツが利用でき、コンテンツ開発者にとって魅力的な開発プラットフォームとなっている。日本市場もスタンドアローン型を対象としたコンテンツ開発が進んでいるのは同様で、特にエンタープライズ市場での活用事例が増加している。 2019年から2020年に掛けて、世界各国で5G(第5世代携帯電話サービス)の商用サービスが開始される。XR市場は5Gの恩恵を最も受ける市場の一つで、クラウド運用によるコンテンツの配信に加え、スポーツ・報道・エンタテイメント分野での360度動画の中継サービスの利用も可能となるなど、利便性・活用範囲は大きく進化する。 2019年版では、これまで取り上げてなかったXRコンテンツ制作を手掛ける企業を取り上げた。教育・研修・防災・医療分野に拡がりを見せており、更に5G活用による更なる市場拡大を予測した。

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