矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

Daily column

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2021
【アナリストオピニオン】「オートモーティブワールド2021」レポート 増えてきた周辺環境に利をもたらす発想のビジネスモデル③
専門技術セミナー 本展示会では専門技術セミナー(有料)も充実しており、専門の講師の講演を聴講する事が可能で、最新の技術やマーケット動向を知る事が出来る。コネクテッドカー、MaaS(Mobility as a Service)、自動運転/ADAS、EV/FCV(燃料電池車)といった、自動車業界注目のトピックを扱う専門技術セミナーが約70講演(同時開催展除く)開催された。 今回の取材は、「日産自動車の車載ソフトウェア」「ソニーのVISION-S」「日立アステモのソフトウェア開発力強化」等のセミナーについて実施した。 ■JASPAR/日産自動車の車載ソフトウェア 自動車業界は「気候変動」「セキュリティへの対応」「安全や環境に対する法規制への対応」などに直面しているという。そして、それらを解決するのは全て下記のようにソフトウェアで行う。 ①環境面 「EV」のソフトウェア技術で対応 ②安全性 「AD+コネクテッド」のソフトウェア技術で対応 「日本におけるソフトウェア標準化」はJASPARが担っている模様。今、最も注目して複雑化を推進しているのはOTAである。 ■ソニーのVISION-S ソニーは2020年1月のCES2020で、コンセプトEVモデル「VISION-S」を発表。その後、同社はこの「VISION-Sを公道に走らせる」という目標をもって事業を推進している。 ソニーはイメージセンサをもっているので、それをクルマに活用して安全/安心を追求した。またソニーはエンタメのコンテンツを多くもっているので、それも事業に活用している。極論としては「クルマを走らせながら寝ることができる」というシステムを目指している模様。 ■日立アステモのソフトウェア開発力強化 2021年、日立オートモティブシステムズとホンダ系のサプライヤであるケーヒンとショーワ等が合併して日立アステモとなった。日立主導である。日立製作所のソフトウェア技術も取り込んでいくことになるものと思われる。 ホンダ系がいることがあり、日立アステモになって新たなビジネス領域「二輪を対象とした事業」が加わった。下記が日立アステモの3大事業である。 パワトレ系 ボディ/シャシー系 モーターサイクル系 最後に 今回の展示会、専門技術セミナー講演を通して感じたことは、たとえ2020年にコロナ禍があり、追い打ちをかけるかのように2021年に半導体供給不足があっても、それでも間違いなく訪れるCASE時代を生き伸びるために、各社が単独でがんばるのではなく、損保ジャパンや日立アステモにみられるように、相互に補完関係を築きあげられる相手との企業提携・企業再編に乗り出す具体的な動きであった。特にCASE実現のためにますます重要さを増す車載用ソフトウェアにおける各社の強化戦略に注目が集まっていた。 またJVCKの四方良しや、NECのスマートシティ対応にみられるように、自社の利益追求だけでなく、周辺環境に利をもたらす発想のビジネスモデルが増えてきているのが印象深かった。 ( 森健一郎 )
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2021
【アナリストオピニオン】「オートモーティブワールド2021」レポート 増えてきた周辺環境に利をもたらす発想のビジネスモデル②
各社の展示状況 ■CASE関連の展示状況 コロナ禍の影響で、CASEは派手な花火を上げる時期が早々と去り、いかにしてビジネスを立ち上げ利益を得るか…を真剣に考える時期が訪れた。 まずはCASEのS(=シェアカー、MaaS)から。 現在の過疎地の高齢者のためのオンデマンドバスという形だけでは、少ない客のためにコストをかけての赤字運行になるため、なかなか利益は取れるものではない。Sは困難なのであろうか。 一方でMaaS事業者による異業種とのコラボ、たとえばフード配送や出張医療などのビジネスを推進することでMaaSのSは本格化する可能性がある。コロナ禍の時期において、かえってフード配送の需要が高まったのは追い風であった。 今後もMaaS事業がずっと利益が取れないままで推移するとは限らない。高齢者向けオンデマンドバスアプリについても、高齢化先進国である日本が、やがて海外に打って出る際の重要な戦略商品になる可能性がある。 NECはそのオンデマンドバスを狙ってきているのであろう。次の写真の「車外・車室内状況見守りソリューション」では、車室内カメラによる乗客の姿勢画像をAI解析することで危険がないかを判断する。運行動態管理アプリと乗客安全アプリの併用だ。 さらにバスという移動体に搭載されたカメラ画像ならば、街全体の映像を解析することで街全体の保全にも役立つかもしれない。一見、赤字運行のバスアプリに見えながら、実はトヨタ自動車がウーブンシティをもって世界に向けて配信する「未来の街の保全=スマートシティ」を想定してのビジネスモデルになっているのではないか。   JVCKはタクシーのMaaS車両化を狙ってきている。次の写真の「CABmeeタクシー相乗りソリューション」は、「高齢者に使いやすいシステム×相乗りマッチング率向上」が狙いだ。そして同ソリューションは三方良しどころか、四方良しの優れたアプリとなっている。 想定ユーザの高齢者にとり、相乗りにより低価格料金で利用でき、使いやすいスマホUIがある点が良し。タクシードライバにとっても、ユーザの自宅から向かう目的地を、町内の利用頻度の高い代表的な施設に絞り込んだため運行しやすくなって良し。タクシー会社の経営者にとっても、同乗車がいるお得な便をユーザに示すなどの営業ツールになっている点が良し。さらには自治体においても、負担軽減で良し。近江商人ではないが、三方良しならぬ四方良しの優れたアプリとなっている。 ちなみに同「CABmeeタクシー相乗りソリューションアプリ」の実証実験をやっている埼玉県三芳町は「さんぽう町」と読むのではなく、「みよし町」と読む。 損保ジャパンはディアフォー、アイサンと組んで自動運転の実証実験に参加。同社は「事故に備えた保険」から「事故を防ぐ保険」への進化を謳った。また「日本の自動運転はスマートシティにおいて具現化する」と考えている。それはこれまでのMaaS事業が国からの補助金以外ではなかなか収益が上がりにくかった状況下において、スマートシティ内の自動運転MaaSサービスは間違いなくビジネスとして成功するからだという。 ティアフォーは自動運転OSで有名で、海外でも多く導入事例がある。四輪車だけでなく、ロボットや小型モビリティでの活用もあるという。Apple、GoogleがスマホOSの世界からモビリティの世界を狙ってくるのは明らかなので、自動車業界でも対抗すべく多様なモビリティのデータ収集・解析、さらには遠隔操作をできるようにしていくのだ。 損保ジャパンはそうした多様なモビリティでの保険ビジネスをも狙っていく。 ■車載ソフトウェア関連の展示状況 ベリサーブはSCSK子会社のソフトウェア検証サービス企業。既に自動車原価におけるソフトウェア比率は4割近くにまで増大しているという。 ここにきて増えているベリサーブのビジネスは下記のようなものだという。 車載セキュリティ品質向上支援 モビリティサービス(MaaSサービス)検証 データコレクション・評価サービス(自動運転向けデータ収集・評価体制を構築) 要求仕様書品質向上支援 開発プロダクト品質向上支援 A-SPICE準拠支援 自動テスト/テスト環境構築 トレーサビリティ管理ツールConTrack 次の写真にあるモビリティサービス検証はカーシェア、タクシー配車、レンタカー、自動車保険、小売、ネット販売、物流、観光などの事業の品質向上をサポートするものだ。 ここにきてOEMが、テスラに加え、トヨタ「アリーンOS」、VW「ww.OS」、GMクルーズ&マイクロソフトなど、ビークルOSを打ち出して、トラフィックなど多くのデータを収集・解析して、製造・サービスに生かすべく動き出している。これらのビークルOSは四輪自動車だけでなく、二輪バイク、超小型モビリティ、配送ロボット、電動ボード、ドローンなどにも搭載され、それらのデータについても同じようにデータ収集・解析を行うことになる。 放っておけば、GAFAや中国のITジャイアントらが、間違いなくモビリティデータ収集・解析事業に攻め込んでくるのだから、水面下での戦いはもう始まっているとみていい。 フォーラムエイトは構造計画研究所や福井コンピュータのような建設CADベンダである。建設において、CAEなどの仮想シミュレーションをスタートし、その後自動車開発分野におけるシミュレーションビジネスをも推進している。 同社売上における自動車分野の比率は、20~30%程度だという。AUTOSARなどの標準化、ソフトウェア開発スピードアップを背景に、ECU完成を待たずして、VR活用のソフトウェア仮想検証が普及してきている(森健一郎)。 ※全文は以下よりご覧いただけます https://www.yanoict.com/opinion/show/id/308
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2021
【アナリストオピニオン】「オートモーティブワールド2021」レポート 増えてきた周辺環境に利をもたらす発想のビジネスモデル①
開催概要 「 第13回オートモーティブ ワールド 2021 」は、2021年1月19日~21日の3日間、東京ビッグサイトにて開催された。同展示会は「 第35回 ネプコン ジャパン 」等と同時開催されており、来場者数は同時開催合計で14,806名。さすがに今回はコロナ禍のため前回来場者数に比べると減少しているが、この時期に徹底したコロナ対策の上でリアル開催できたことは、それだけで成功といえるのではないか。全参加者にサーモグラフィ等による体温測定がなされ、受付には飛沫防止シート設置、医師・看護師が医務室に常駐していた。 期間中は展示会とあわせてコネクテッドカー、MaaS、自動運転/ADAS、EV/FCV(燃料電池車)といった、自動車業界注目のトピックを扱う専門技術セミナーが開催された。セミナー受講者数は3日間で6,377名。各セミナー会場は入口に消毒液を設置、椅子も間隔の余裕をもって置かれていた。 「オートモーティブ ワールド 2021」が開催された国際展示場のゲートを入ると、右に青、左に赤のシートが敷かれていた。通常の展示会は左側の東棟・西棟で開催されているのだが、2021年1月現在、夏に開催される予定の東京オリンピックのメディアセンターが東棟に建設されているため、同展示会会場は右側の南棟で開催されることになっているのだ。コロナ対策とオリンピック対応の2021年オートモーティブワールドは、今後も長く記憶に残りそうである。 2021年のCASE動向 2020年はCASEのSとAの勢いがそがれた年であった。 まずS(=シェアカー,MaaS)だが、2020年4月からのコロナ禍の影響で不要不急の外出ができなくなり、また三密回避のため同乗するサービスが避けられ、シェアリングカー用途が減少。成長が滞ってしまった。 次にA(=自動運転)では、世界的な自動車販売台数減少から、各企業の開発投資意欲も減退し、ウーバーの自動運転部門売却(オーロラへの)にみられるように、特にレベル4自動運転開発は速度が落ちた印象だ。逆にレベル3自動運転は世界中で新車販売の流れにあるのだが…。 それに比べてCASEのE(=EV、xEV)では、2030年には世界の新車の30%がxEVになると見られており、各国のカーボンニュートラル方針が大々的に発表され、バイデン新米国大統領は「グリーンエネルギー投資計画」をかかげ、ますます勢いづいている。 もちろんCASEのC(コネクテッドカー)は、C・A・S・Eの中で最も早く普及する(クルマに搭載される)と予測されており、新車に占めるコネクテッドカー搭載比率は、2035年に乗用車で80%、商用車で75%に達すると予測できる。 さらにここにきて注目度が高まったのが自動車のソフトウェア化である。CASE機能を実現するために爆発的に大容量化を続ける車載ソフトウェアだが、その一方でEVやシェアカーは1台当たりの価格低下が予測されており、コスト削減のためにソフトウェア開発の効率化が必須となってきた。開発効率化のためには、トヨタのアリーンOS、VWのvw.OSにみられるようなビークルOSを活用する模様。ビークルOSの周辺で活用するために多種多様な開発ツールも上市されてきている。 当展示会は「OEMやTier1の人気セミナー講演で集客し、Tier1以下のハードウェアベンダやソフトウェアベンダ、素材メーカなどの出展企業は来客にアピールしてビジネスチャンスをゲットする」という構造をもとに開催されているときく。 今回は展示会において、勢いがそがれたと聞くCASEのSとAのベンダ、注目度高まる車載ソフトウェア・ベンダ、に関してその本当のところはどうなのかレポートしていく(森健一郎)。 ※全文は以下よりご覧いただけます https://www.yanoict.com/opinion/show/id/308

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2021
2020-2021 XR(VR/AR/MR)360°動画市場総覧
XR(VR、AR及びMRの総称)市場は着実な成長を遂げており、スタンドアローン型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)である(米)Oculusの「OculusGo」が世界的にヒットし、その上位モデル「OculusQuest」が6軸をサポートした結果、ハードウェア及びコンテンツ市場に於いて更に裾野を広げる形となった。一方で(米)GoogleのVRプラットフォーム「DayDream」が収束したのを皮切りにスマートフォンを活用したVRプラットフォームは終焉に向かう形となるなど、ハードウェアプラットフォームの安定化と市場拡大には暫く時間が掛かる見通しである。また、世界中を混乱に陥れたCOVID-19と米中摩擦はXR市場にも大きな影響を及ぼしており、既存の社会環境のあり方が問われる一方で、オンライン上でのサービスに注目が集まり、それに伴ってXRの需要も拡大し始めている。更に世界各国で5G(第5世代携帯電話サービス)の商用サービスが開始され、XRに於いてもコンテンツ配信やビジネス分野、中継、映像制作の場で活用される機会が急速に増加する見通しである。 本年度版は参入企業やサービスの枠組みが大きく変貌する中、内容を一度リセットしながら制作していく方針である。

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