日本は少子高齢化と労働力不足が深刻化しており、外食、物流、介護など多くの現場が既に悲鳴を上げている。更に、長時間労働や硬直化した勤務形態などが原因 となる労働生産性の低さも指摘される。AIは日本のこのような構造的な課題を打開するテクノロジーとして位置付けることができる。課題意識とAIへの期待は幅広い業 種・業態で共有されているはずだが、なぜAIの活用はなかなか進まないのだろうか。
理由として、企業からは「AIは高価である」「AIを活用できる人材がいない」という声を聞く。現時点ではAIの導入は個別開発により導入することが多く、導入コストは数千万円以上といった規模になることも珍しくない。このような独自システムを導入できるのは一部の大手企業に限られ、中堅中小企業を含む一般の企業まで裾野を広げるためには、汎用的で安価なツールやソリューションとして活用できるようになることが必要となる。
なお、ディープラーニングはやや複雑である。モデルの構築は目的別の個別対応となり、汎用的に流用することは現時点では技術的に困難であるといわれている。また、データに関する知見は専門家の知見が求められ、学習や再学習にはデータサイエンティストが関与することになる。但し、ディープラーニングを手掛けるベンダーの中には「汎用化も将来的には不可能ではない」として、中堅企業以下でも利用できるソリューション化を視野に入れているところもある。
現在でも手軽で安価に使えるAIは提供されている。画像認識、顔認識、感情分析、音声認識等のAI技術は、AWSやWindows Azure、IBM Watsonなど大手のクラウドプラットフォームからAPIとして提供されている。プログラミングなどの負担がなく(或いは少なく)市販品を購入できるものとしては、AI技術を応用した機械翻訳、チャットボット、セルフ型のパン屋向けの画像認識によるレジシステム、飲食や小売の店舗用の顔認識システムを搭載した接客ロボットなどもある。自社でAIを開発しなくても、他社が構築した技術を使ってAIを取り入れることは可能だ。
2019年以降は、AIが身近に使えるようになるかがポイントの一つとなる。多くの企業がAI導入効果を得られ、「AIが普及した」と言えるレベルに到達するためには、ソリューションやツールのいっそうの拡充が求められている。(小林明子)
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