矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2019.06.07

【アナリストオピニオン】AIにできない仕事「MaaSとアイドル AI比較」③

コンテンツの多様化

MaaS事業者は、どのような車両ラインアップを揃えるかがサービスの魅力につながると考えている。ウーバーのライドシェアサービスのように、契約したドライバの保有車両をうまく利用する場合もある。タクシー配車サービスの場合は、同じデザインのタクシーを取り揃えることでブランディングを図っていく。P2Pシェアリングでは、貸し手と借り手が「たまにはこんなスポーツカーに乗ってみたい!」「いいですよ」というネット上の交渉で乗る車両が決定する。MaaS市場において、C(消費者)はクルマを選ぶうえで能動的な決定権を持つため、Cの好みに合わせられる多様性は重要だ。

比べてアイドル市場においては前述したように、もはや複数人のグループが多く、中には20人以上いることもある。メンバー各人の得意分野、個性を尊重して生かし、ユーザを飽きさせない。個人の怪我やトラブルによる一時的な離脱は他のメンバーで補完し、むしろそうしたトラブルすらもコンテンツとして活用するのが現代風だ。単純にメンバーの数が多いだけでなく、「aちゃんとbちゃんが一緒になるとこうなるが、aちゃんとcちゃんが一緒だとだとこうなる」的にメンバーの関係性にまで踏みこんで、混じりあう色を見せていくコンテンツの多様化に工夫している。

MaaSもアイドルも、Cのサービス選択にはネットのサイトやSNSを多用している。MaaSのシェアカーサービスでは、スマホのサービスサイトに寄せられた客の声がドライバのランクを決め、逆に客もドライバから評価される。アイドルではテレビ、CD、DVD、YouTube動画像などに加えてSNSのTwitterやFaceBookやブログを活用してファンを飽きさせないようにもっていく。

そのどちらも運用にはAIが活用されている事であろう。

最後に結んで逃げる

MaaS市場とアイドル市場の比較をざっくり行ったが、なんだか方向性の明確でないものになってしまった。いつもB2Bばかりやっていた筆者が、たまにB2Cに触れて考えて興奮してしまったに違いない。しかもアイドルだからなあ。興奮して間違いも多いかもしれない。なんだか自信がなくなってきた。

もしかするとB2B主体の自動車産業の従事者においても、B2C色の強いMaaS事業に従事するようになったらきっと訳わからない混乱が、企業組織としてだけでなく、個人の脳の中でも起こってしまうかもしれないと思ったりする。

自動車産業の人も筆者のように、自信がなく、集中できなくなり、右往左往し、先が見えなくなってしまうのだろうか。

けれども企業人といったって、結局は、一匹の人間という動物として、限りある命あるうちに、精一杯鼻をきかせながら思考し、行けるところまで進んでいくしかないのだろうとも思う。だってAIではないのだから。AIにできない仕事をやっていくのだから。AIのできない思考で行けるところまで行ってしまうしかないのだから。でも、方向性はこれでいいのか。AIにできない仕事を探すってこうしたことではないのではないか。などとも思う。

こうした思い自体が「おいおい、市場調査と製造業を一緒にするなよ」とかいう批判にさらされたら、あっという間に恥ずかしくて消え入ってしまいそうだ。AI研究者の方か、読者に「しょせん市場調査屋さんの考え」などといわれたらうつむいて凍ってしまいそうだ。

自動車産業のようなB2Bに関わる方、アイドル産業をはじめとするB2Cに関わる方、当コラム読者の方にとって、ほぼ役に立たない与太話となった。お代はタダだが、読んでいる時間はお戻しできないのでご容赦ください。しかし調査会社も面目を保たねばならないので、最後に結んでおく。

MaaS時代の自動車産業は、どうやらこれまでになくB2Cの色合いが濃いものになっていきそうだ。当ユニットの自動車担当チームのメンバーとしては、これまでのようにITS、コネクテッドカー、車載HMI、車載ソフトウェアなど車載IT分野を追いながら、そこにB2Cの視点を加味していく事を考えていきたい。(森健一郎)

*全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/264

森 健一郎(モリ ケンイチロウ) 主席研究員
市場の分析は、数字だけには留まりません。得られた数字の背景には、開発担当のパッションや、販売担当のため息、消費者の感覚の変化・・・など様々な人間くささがあります。こうした背景を踏まえたコメントを丹念に拾い、市場の将来像を予測分析していきたいと考えています。

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