矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2019.11.05

【アナリストオピニオン】ドローン活用のフィールドは水中へ①

空を飛ぶドローン(UAV)の話題で持ちきりだった2017年までに比べ、2018年後半からは水中ドローンの露出が増えた印象がある。空を飛ぶドローンの市場が中国のDJIに独占されている中、水中ドローンは新たな市場として注目されているようだ。

水中ドローンは、ROV(遠隔操作艇: Remotely Operated Vehicle)やAUV(自律型無人探査機: Autonomous Underwater Vehicle)と呼ばれるほか、UUV(無人潜航艇: Underwater Unmanned Vehicle)等の呼称もある。さらに、潜水せずに水面を航行する船はUSV(無人艇: Unmanned Surface Vehicle)や。UMV(無人航行艇: Unmanned Marine Vehicle)などとも呼ばれる。

ここでは、ケーブルにつながれて稼働する水中ドローンをROV、ケーブルなしで全く自律的に水中を潜航する水中ドローンをAUVと呼ぶ。

まず、AUV(自律型無人探査機)の場合、電波による通信が困難な水中ではGPS(GNSS)電波も受信できないため、自律航行のためにはレーザージャイロを使った慣性航法と詳細地形図を作成し、障害物を回避するためのソナーなど高度なシステムが必要になる。また、水深1,000mを超える深海を長時間潜航するための耐水圧性への要求も高い。航空機としてのドローン(UAV)が、早くから軍事・防衛分野での実用化が進んだように、AUVもまた、潜水艦や機雷対策、海底地形図作成(マッピング)などを目的に軍事用途で活用されてきた。また、海底油田などの資源探索や海底パイプラインの点検など、石油・ガス業界でも利用されている。

海底資源探索では、最初にAUVで広範囲に海底をスキャンし、気になる地点にROVを降ろして詳しく調査するという手法が一般的である。この場合のROVは、海底の石や泥を採取できるアームなどのマニピュレータを持つものだったりする。石油・ガスの業界では、かなり以前から海中の油田やガス田の開発にROVを活用してきた。また、タイタニック号など沈没船の捜索や海中に墜落した航空機の捜索にもROVは活用されている。

日本では、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が以前から無人探査機の開発運用を行っており、三菱重工や日立造船などが製造を手掛け、むしろこの分野では世界をリードしている。うらしま、かいこう、じんべいなど多種類の無人探査機(AUV)を開発してきた。日本近海にはマリアナ海溝など未探索の深海も多数存在し、海底資源であるメタンハイドレートやレアアースの資源量調査も注力されているところである(古舘渉)。

※図表の出展

JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)のプレスリリースより。リンク先には動画もあり。

※全文、関連資料の概要は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/273

https://www.yano.co.jp/market_reports/C61111200

【図表:日本のAUV「じんべい」】
古舘 渉(フルダテ ワタル) 主任研究員
新規事業コンサルティング部門、上海現地法人、海外部門を歴任し、新規市場開拓のお手伝いには自信があります。

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