矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2020.03.25

【アナリストオピニオン】働き方改革最前線~ITベンダの先進事例4選~(前編)②

SCSK

SCSKでは2009年当時の社長が現場に危機感を抱いたことが働き方改革推進のきっかけだった。そこからトップダウンで労働環境の改善に向けた数々の取り組みが行われ、現在では働き方改革先進企業の1社となっている。同社では、働き方改革の3つの柱として「スマートワーク・チャレンジ」「健康わくわくマイレージ」「どこでもWORK」を実施してきた。

■スマートワーク・チャレンジで労働環境を改善
2013年4月に、月間平均残業時間を20時間以内に削減し、年次有給休暇取得日数を20日、つまり100%取得させる取り組みを実施した。2008年時点での平均残業時間は35.3時間、有給休暇取得日数は13日だった。残業時間の削減で浮いた残業代を社員に全額還元させる施策や、有給休暇の取得推進に向けた全社一斉休暇取得日・取得奨励日の設定など、トップダウンでの施策が行われた。その結果、2017年度実績で平均残業時間が16.4時間、年次有給休暇日数が18.8日となり、労働環境が大幅に改善された。2015年7月からは固定残業手当の制度を導入。残業の有無に関わらず、20時間分の残業代を予め支給することで、残業時間が短い方がインセンティブのある仕組みとした。

■社員一人ひとりの健康が資本
健康な状態で100%の能力を発揮できている状況が重要という考え方から、2015年に「健康わくわくマイレージ」の取り組みを開始した。朝食やウォーキングなどの「行動」と健康診断の「結果」に対し、一定基準を達成した社員にインセンティブを支給する制度で、従業員に対し健康意識の向上を働きかけた。他にも、社員専用の診療所「SCSKクリニック」や、安価でマッサージが受けられるリラクゼーションルームなど、社員の健康に関する施策がいくつも行われている。

■どこでもWORKで柔軟な働き方を
2015年10月より「どこでもWORK」の施策の一つとして、テレワークを導入している。当初はスモールスタートで対象社員や利用回数を限定して実施したが、2017年8月より全社員が月8回まで利用できる制度となった。テレワークの際は自前のPCを活用し、会社で使用しているPCは会社から持ち出さない。自宅以外では、サテライトオフィスを活用することも可能である。どこでもWORKの普及により、産休・育休明けの社員が復帰しやすい環境になったという。

■フリーアドレスでの課題と工夫
ほぼ全社員がフリーアドレスに適用している。フリーアドレスに移行するにあたり、最も苦労したのは紙を捨てることだった。一人に割り当てられたキャビネットは決して大きくなく、必要最小限の荷物にする必要があったため、資料をPDF化するなどして対応した。また、フリーアドレスでは各社員の居場所がわからないため、オフィスに掲示している座席表に名前が記載されたマグネットを置いたり、部門によっては、無線タグを着用し、ブラウザ上で互いの在席状況を確認できるようにしたりしている。

■生産性向上に繋がるオフィスづくり
社員一人ひとりの生産性向上を目的とし、オフィス環境を整備している。パーテーションで囲まれた集中席は、資料作成など集中したい時に活用する。また、リフレッシュする空間として社内にカフェがある。頭の中を整理したい時やリラックスしたい時に使用し、カフェ内では打ち合わせなどの仕事をするのが禁止となっている。

■最高のパフォーマンスに繋がる環境整備
SCSKでは、数々の施策をトップダウンで着実に実行してきた。働き方改革推進の根底にあるのは、同社が掲げる「社員が心身の健康を保ち、仕事にやりがいを持ち、最高のパフォーマンスを発揮してこそ、お客様の喜びと感動につながる最高のサービスができる。」という考えである。
長時間労働では社員の心身は害され、劣悪なオフィス環境では最高のパフォーマンスを発揮できない。高い生産性を発揮できる環境を制度と設備の両面で整備したからこそ、SCSKは残業時間の削減と増収増益を両立させている。

全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/282

星 裕樹(ホシ ユウキ) 研究員
業界の方々、お客様と信頼関係を築くことが何よりも重要だと考えています。 「足で稼ぐ」をモットーに知見や情報を積み重ね、市場の実態把握と将来像の予測分析に努めてまいります。

YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。

YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。

東京カスタマーセンター

03-5371-6901
03-5371-6970

大阪カスタマーセンター

06-6266-1382
06-6266-1422