矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2021.04.16

【アナリストオピニオン】「オートモーティブワールド2021」レポート 増えてきた周辺環境に利をもたらす発想のビジネスモデル②

各社の展示状況

■CASE関連の展示状況
コロナ禍の影響で、CASEは派手な花火を上げる時期が早々と去り、いかにしてビジネスを立ち上げ利益を得るか…を真剣に考える時期が訪れた。
まずはCASEのS(=シェアカー、MaaS)から。
現在の過疎地の高齢者のためのオンデマンドバスという形だけでは、少ない客のためにコストをかけての赤字運行になるため、なかなか利益は取れるものではない。Sは困難なのであろうか。
一方でMaaS事業者による異業種とのコラボ、たとえばフード配送や出張医療などのビジネスを推進することでMaaSのSは本格化する可能性がある。コロナ禍の時期において、かえってフード配送の需要が高まったのは追い風であった。
今後もMaaS事業がずっと利益が取れないままで推移するとは限らない。高齢者向けオンデマンドバスアプリについても、高齢化先進国である日本が、やがて海外に打って出る際の重要な戦略商品になる可能性がある。

NECはそのオンデマンドバスを狙ってきているのであろう。次の写真の「車外・車室内状況見守りソリューション」では、車室内カメラによる乗客の姿勢画像をAI解析することで危険がないかを判断する。運行動態管理アプリと乗客安全アプリの併用だ。
さらにバスという移動体に搭載されたカメラ画像ならば、街全体の映像を解析することで街全体の保全にも役立つかもしれない。一見、赤字運行のバスアプリに見えながら、実はトヨタ自動車がウーブンシティをもって世界に向けて配信する「未来の街の保全=スマートシティ」を想定してのビジネスモデルになっているのではないか。

 

JVCKはタクシーのMaaS車両化を狙ってきている。次の写真の「CABmeeタクシー相乗りソリューション」は、「高齢者に使いやすいシステム×相乗りマッチング率向上」が狙いだ。そして同ソリューションは三方良しどころか、四方良しの優れたアプリとなっている。
想定ユーザの高齢者にとり、相乗りにより低価格料金で利用でき、使いやすいスマホUIがある点が良し。タクシードライバにとっても、ユーザの自宅から向かう目的地を、町内の利用頻度の高い代表的な施設に絞り込んだため運行しやすくなって良し。タクシー会社の経営者にとっても、同乗車がいるお得な便をユーザに示すなどの営業ツールになっている点が良し。さらには自治体においても、負担軽減で良し。近江商人ではないが、三方良しならぬ四方良しの優れたアプリとなっている。
ちなみに同「CABmeeタクシー相乗りソリューションアプリ」の実証実験をやっている埼玉県三芳町は「さんぽう町」と読むのではなく、「みよし町」と読む。

損保ジャパンはディアフォー、アイサンと組んで自動運転の実証実験に参加。同社は「事故に備えた保険」から「事故を防ぐ保険」への進化を謳った。また「日本の自動運転はスマートシティにおいて具現化する」と考えている。それはこれまでのMaaS事業が国からの補助金以外ではなかなか収益が上がりにくかった状況下において、スマートシティ内の自動運転MaaSサービスは間違いなくビジネスとして成功するからだという。
ティアフォーは自動運転OSで有名で、海外でも多く導入事例がある。四輪車だけでなく、ロボットや小型モビリティでの活用もあるという。Apple、GoogleがスマホOSの世界からモビリティの世界を狙ってくるのは明らかなので、自動車業界でも対抗すべく多様なモビリティのデータ収集・解析、さらには遠隔操作をできるようにしていくのだ。
損保ジャパンはそうした多様なモビリティでの保険ビジネスをも狙っていく。

■車載ソフトウェア関連の展示状況
ベリサーブはSCSK子会社のソフトウェア検証サービス企業。既に自動車原価におけるソフトウェア比率は4割近くにまで増大しているという。
ここにきて増えているベリサーブのビジネスは下記のようなものだという。

  • 車載セキュリティ品質向上支援
  • モビリティサービス(MaaSサービス)検証
  • データコレクション・評価サービス(自動運転向けデータ収集・評価体制を構築)
  • 要求仕様書品質向上支援
  • 開発プロダクト品質向上支援
  • A-SPICE準拠支援
  • 自動テスト/テスト環境構築
  • トレーサビリティ管理ツールConTrack

次の写真にあるモビリティサービス検証はカーシェア、タクシー配車、レンタカー、自動車保険、小売、ネット販売、物流、観光などの事業の品質向上をサポートするものだ。
ここにきてOEMが、テスラに加え、トヨタ「アリーンOS」、VW「ww.OS」、GMクルーズ&マイクロソフトなど、ビークルOSを打ち出して、トラフィックなど多くのデータを収集・解析して、製造・サービスに生かすべく動き出している。これらのビークルOSは四輪自動車だけでなく、二輪バイク、超小型モビリティ、配送ロボット、電動ボード、ドローンなどにも搭載され、それらのデータについても同じようにデータ収集・解析を行うことになる。
放っておけば、GAFAや中国のITジャイアントらが、間違いなくモビリティデータ収集・解析事業に攻め込んでくるのだから、水面下での戦いはもう始まっているとみていい。

フォーラムエイトは構造計画研究所や福井コンピュータのような建設CADベンダである。建設において、CAEなどの仮想シミュレーションをスタートし、その後自動車開発分野におけるシミュレーションビジネスをも推進している。
同社売上における自動車分野の比率は、20~30%程度だという。AUTOSARなどの標準化、ソフトウェア開発スピードアップを背景に、ECU完成を待たずして、VR活用のソフトウェア仮想検証が普及してきている(森健一郎)。

※全文は以下よりご覧いただけます

https://www.yanoict.com/opinion/show/id/308

森 健一郎(モリ ケンイチロウ) 主席研究員
市場の分析は、数字だけには留まりません。得られた数字の背景には、開発担当のパッションや、販売担当のため息、消費者の感覚の変化・・・など様々な人間くささがあります。こうした背景を踏まえたコメントを丹念に拾い、市場の将来像を予測分析していきたいと考えています。

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