矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

2021.10.15

【アナリストオピニオン】基幹システムのクラウド化の進展③

SaaSの論点となる個別対応ニーズへの対応

マルチテナント型で提供されるSaaSは、基本的にはカスタマイズなどの個別対応はできない。販売管理や生産管理は、企業固有の要件が生じることが多いため、ユーザ側には「SaaSでは自社の業務に合わないのではないか」という懸念があるだろう。
もっとも、昨今はパッケージの性能向上が進み、幅広い業種で汎用的に利用できる製品として提供するトレンドとなっているため、標準機能の業務適用度は高まっている。また、なるべく標準システムのまま導入し、早期にシステムを立ち上げたいという企業は増えている。カスタマイズにはコストや手間がかかり、導入後はバージョンアップがしづらくなるなどのデメリットが認識されるようになったためである。この状況から、「個別対応なしのSaaS」を利用するハードルは下がっている。初期導入費用の軽減、維持運用の容易さ、モバイルワークなど自由な働き方における使いやすさなどのメリットとの兼ね合いで、SaaSが選ばれる機会は増えると推測する。
ベンダー側にも、SaaSでもユーザの自由度を上げようという動きがある。「プライベート型SaaS」というIaaS/PaaS利用とSaaSの中間のようなサービス形態もあるが、マルチテナント型のSaaSでもある程度の個別対応が可能な場合がある。個別対応といっても、帳票や画面などの軽微なものからビジネスロジックに手を入れるものまでレベルが様々であり、ある程度の個別対応は許容するアーキテクチャを持つSaaSもある。
また、多くのベンダーが外部サービスとのAPI連携に注力しており、足りない機能を独自に開発するのではなく外部システムと連携性することで補うことも可能である。競合に当たる製品とも連携しようとする動きも出ている。SMILE(開発元:OSK)は、2020年12月に「競争から共創へ」と銘打って、SaaSのSMILEとPCA会計DX クラウドとの連携を発表した。SMILEが機能を持たない周辺業務はもちろん、会計など共通する分野においても、ユーザが使いやすいサービスを組合せて利用できるように連携性を高める狙いである。
数年後には、「個別対応ができないからERPはSaaSでは使えない」という議論はなくなっている可能性もあるだろう。

※全文は以下よりご覧いただけます

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小林 明子(コバヤシ アキコ) 主席研究員
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